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「平和の福音」 エフェソの信徒への手紙2章11~22節

「平和の福音」エフェソの信徒への手紙2章11~22節

 「戦争を平和に変える法」という絵本があります。海岸の砂浜で砂の城を隣り合わせで作っていた2人の子どもがそれぞれの城を大きくするのに相手が邪魔になりケンカが起き、解決するまでの過程が描かれています。この中には、「潜在的紛争地域」、「紛争」、「報復攻撃」、「侵略」、「同盟国」といった用語が出て、子どものケンカが大人のする戦争の説明になっています。この絵本を訳し、解説を書かれている故筑紫哲也さんは「この絵本に書かれていることは所詮子どもの世界の夢物語さ、と片付けられるでしょうか。どちらの方が子どもじみているでしょうか。」と述べられています。今の日本に住んでいる私たち、また私たちの世界には、争い、テロ、差別があります。そのような時代の中でどのように生きればいいのか、与えられた聖書から考えてみたいと思います。
 ユダヤ民族は、自分たちは神から律法を与えられた選ばれた民であることを誇りとし、ユダヤ人以外の人々を異邦人として差別していました。しかし、ユダヤ人であってもなくても、イエス・キリストを信じる信仰によってすべての人は救われるという道が、イエス・キリストの十字架の死と復活の出来事によって確かなものとされたのです。この手紙の著者であるパウロは「キリストはおいでになり、遠くに離れているあなたがたにも、また近くにいる人々にも、平和の福音を告げ知らせました。」と17節で述べています。イエスは人々の中にある「敵意」を黙って受け、十字架にかけられ、死なれました。そうすることによって、「敵意」を滅ぼされたのです。そして、「争い」ではなく「平和」を作り出していく、そのような働きへと私たち一人一人を招いておられるのではないかと思います。「平和の福音」は、遠くにいる人も近くにいる人も与えられているものです。現代的に解釈するなら、キリスト者の中だけで平和を求めていくのではなく、キリスト者以外の人とも共闘して、平和を求める働きをするということではないかと思います。
 教会とは地縁血縁を越えた人々の集まりですが、信仰において神の家族なのです。(19節)「キリストはわたしたちの平和であります」(14節)とパウロは言っています。教会に集い、神の家族となった私たち一人一人がこの言葉を心に刻み、まずは自分のまわりから、教会から平和を作る者でありたいと思います。そして自分のまわりの小さな平和がどんどん広がっていくことができるように、それぞれに与えられている賜物を生かして、励んでいく者でありたいと思います。

*河出書房新書 文=ルイズ・アームストロング え=ビル・バッソ
 やく・かいせつ=筑紫哲也 「戦争を平和にかえる法」 1982

2006年7月17日 聖霊降臨節第10主日 平島禎子牧師

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