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「真理の霊」    ヨハネによる福音書16章12~15節

 今日は復活節最後の主日ですが、復活の主はすでに地上におられません。毎年のように、祈りを熱くしてこの時を過ごしましょう、と言っていますが、今年は少し角度を変えて、イエスさまの、一連の最後の出来事を俯瞰してみたいと思います。
 十字架の死、それは歴史的「事実」であった、つまり実際に起こり、だれもが認める事件だったということです。次に、復活ですが、これは弟子たち、つまり信じる者たちにとっては実際に体験したことですが、信じない者たちにとっては、無かったことになります。しかし現実に多くの証人が存在し、そこから弟子集団は新しい希望、力を得ました。これは「真実」ということができるかも知れません。信じる者たちにとっては「真」の「事実」なのです。
 今日の聖書には、聖霊のことが、「真理」の霊と表現されています。聖霊は私たちに「真理」をことごとく悟らせてくれる、というのです。「真理」とは私たちクリスチャンにとっては、ナザレのイエスこそ、キリストである、ということです。そして14節15節を読むと、イエスさまと聖霊と神さまがひとつにつながっていることが分かります。この「真理」は、三位一体と後に呼ばれるようになりますが、聖霊の降臨によって、本来、人間には理解できないことであっても、その「真理」を悟ることができるようになる、と今日の聖書は私たちに教えてくれているのです。
 今の時代は混沌として、この先一体どうなるのだろうか、という不安をおぼえることも多いのですが、確かなことは、私たちはイエスさまを救い主と信じているということ、だから、聖霊が「真理」を悟らせてくれる、ということです。
 理解できないことがらに直面するとき、そのときこそ私たちは信仰者として「真理の霊」である聖霊に導かれ、神さまの思いがどこにあるのか、自分の歩むべき道はどのみちなのか、そうした重要で、根源的な問いに「光」を与えられて、進むべきところへと行きたいと思います。たとえそれがこの世的にどんなにおかしな道であったとしても、神さまが備えられた道であるならば、信仰と勇気をもって歩んで行く者でありたいと思います。

2019年6月2日 復活節第7主日礼拝 笹井健匡牧師

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