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「マリアの源流」 士師記13章1~16節

 早いもので、アドベント第3主日を迎えました。日本では、第4アドベントにクリスマス礼拝をすることが多いので、最後のアドベントの礼拝となります。

 美しく感動的なクリスマス物語を記したルカは、先週の礼拝で平島禎子牧師が言われたように、マリアを「マリアム」と表記しました。モーセの姉ミリアムを想起します。またマリアの賛歌は、ハンナの祈りを想起させます。実は、旧約聖書には、当時の社会の裏方となっていた女性たちが多く登場します。

 今日の聖書は、士師サムソンを産むことになる、一人の名もない女性が御告げを受ける場面です。ハンナを顧みられた神さまは、その少し前、この一人の女性を顧みられたのです。連れ合いのマノアがどういう人物か詳細は分かりませんが、ごく普通の人であったように思われます。

 主の御使いは、この女性に現れられました。そして出産の予言をするのです。その子は、救いの先駆者であり、生まれながらのナジル人だと告げられます。どこかマリアの受胎告知を彷彿とさせます。

 この女性も、連れ合いのマノアも、当初この人を神からの使いの人、神からの何らかの知らせを持ってきた人、あくまで人間だと思いました。しかし、後から (19節以降)その人が、主の御使いだったと知ることになるのです。

 女性が男性の財産と考えられていた時代、わき役に回ることが多かった時代、そんな時代の中で、士師サムソンの誕生の時、おそらく厳しい状況を生きていた一人の名もなき女性に主の御使いが現れ、神の御業が告知されました。この女性は、ミリアム、ハンナと共に、脈々と流れる、表面には見えにくいが確かにつながれてきた女性たちの歴史を示す、マリアへと通じる、マリアの源流となったのだと思います。

 マリアの信仰がイエスさまの誕生の礎となったように、ミリアムの機転がモーセの誕生時に命を救ったように、この女性の神への信頼と誠実さがサムソンの誕生を実現したのです。

 私たちの信じる神さまが、旧約の時代から、男性だけではなく、女性をも愛し、またその神さまに応答して生きた女性たちがいたことを覚える者でありたいと思います。

 クリスマス、それはすべての人、文字通りあらゆる人の救いの出来事です。そのことを覚えて、特に今厳しい状況下にある人々のことを熱く祈りつつ最後のアドベントの歩みを進めて行きたいと思います。

2024年12月15日アドベントⅢ(降誕前第2主日)礼拝 笹井健匡牧師


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