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「神の約束」 ローマの信徒への手紙4章13~25節

 アブラハムになされた「神の約束」とは、この世の常識からすると考えられないようなことでした。アブラハムの子孫が数えられない星の数のように増えるのだ、という約束は、アブラハムの身に起こるはずのない出来事でした。19節には「そのころ彼は、およそ百歳になっていて、既に自分の体が衰えており、そして妻のサラの体も子を宿せないと知りながらも」と記されています。アブラハムと妻サラに、子どもが生まれることは不可能な状態でした。しかし、アブラハムは神を信じたのです。この世的に不可能に思えることも神さまは実現してくださるのだという信仰を持つことができたのです。また、神さまは、17節に記されている「死者に命を与え、存在していないものを呼び出して存在させる神」であります。口語訳聖書では、「死人を生かし、無から有を呼び出される神」と訳されています。無から有を呼び出すということ、何もないところに形あるものを造り出す力を神さまは持たれています。何もない、誰もいない、そのようなところに、必要なもの、必要な人を生じさせて下さるのです。

 パウロは、「わたしたちの主イエスを死者の中から復活させた方を信じれば、わたしたちも義と認められます。」(24節)と言っています。復活とは人間の思いでは、信じられない出来事です。クリスチャン以外の人たちは、あり得ないと思っているでしょう。しかし、私たちは、その出来事を信じているのです。私たちの罪のためにイエスさまは十字架に引き渡され、黄泉に降り、三日目に死人の中から甦られたのです。罪の意識、苦しみ、絶望は、復活の出来事によって、感謝、喜び、希望へと変えられたのです。神さまは「死者に命を与えられた」(17節)のです。私たち一人一人がクリスチャンになったということもまた、無から有が生み出された出来事であり、「神の約束」の成就であるのかもしれません。

 「神の約束」は、私たち一人一人にも与えられています。神がアブラハムに子孫が星の数のようになる、と約束されたように、私たちクリスチャンの数も星の数のようになるということを信じたいと思います。そして、その星たちは、神の愛を示す星たちです。現在、世界で戦争が起きています。悲惨な状況の中に置かれている人々が大勢います。それらの人たちのことを思い、それらの人たちのために働いておられる人たちがいます。私たちは無力かもしれませんが、平和を願うことはできます。幾千万の星々が平和を願うなら、それは叶えられるのではないでしょうか。私たちは「無から有を生じさせる」神さまを信じ、イエスさまの十字架と復活の出来事を信じ、夜空を照らす星の一つとして、この暗い世界を照らしていく、そのような存在となれるよう、祈る者でありたいと思います。

 

     2023年11月12日 降誕前第7主日 平島禎子牧師


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