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「神われらと共に」 マタイによる福音書1章18~25節

 今日の聖書の箇所は、イエスの母となるマリアがヨセフと婚約していた、というところから始まります。その婚約中にマリアが妊娠するということが起きました。マリアの妊娠を知った婚約者のヨセフは、大変驚き、悩みました。申命記22章23、24節には、「ある男と婚約している処女の娘がいて、別の男が町で彼女と出会い、床を共にしたならば、その二人を町に引き出し、石で打ち殺さなければならない。」と記されています。マリアが町に引き出され、さらし者にされ、石打ちの刑で殺されるということは、ヨセフにとっては、耐えられないことであったかもしれません。しかし、別の方法もありました。それは離縁するということでした。離縁は婚約の場合は、比較的簡単であったらしく、法廷に持ち込むことなく、離縁状を渡したことを証する二人の証人がいればよかったのです。ヨセフは、マリアとひそかに離縁しようと決心しました。ヨセフがそのように考えていたところ、夢に天使が現れるということが起きました。天使は、マリアが聖霊によって身ごもっていること、そしてマリアの産む子どもに「イエス」という名前をつけるようにと告げました。イザヤ書7章14節に「見よ、おとめが身ごもって男の子を産み、その名をインマヌエルと呼ぶ。」と記されています。この言葉を引用し(23節)、生まれて来る子どもはインマヌエルと呼ばれるのだというのです。インマヌエルというのは、「神は我々と共におられる」(23節)という意味です。ヨセフはこの不思議な夢から覚めると、天使から言われたとおり、婚約者マリアと結婚し、生まれた子どもにイエスという名前をつけました。

 大工という職業を持ち、誠実に日々を生きていた青年ヨセフは、婚約者のマリアの妊娠を知り、絶望的な状況にあった時に「共におられる神さま」の存在を知らされました。また、寒空の下で、夜通し働いていた羊飼いたちは、「自分たちのためにおられる神」が来られたことを知りました。(ルカ2・11)マリアは受胎告知(ルカ1・26-38)の時に神さまが共におられることを知りました。絶望の中にある者へ、人生をあきらめていた者のもとへ、自分を大した人間ではないと思っている者のところへ、「神さまはあなたと共にいますよ。」と告げられたことが、イエスさまのお誕生のメッセージでした。そのメッセージは、今も私たち一人一人のもとへと届けられているのです。

 イエスさまは、インマヌエル、私たちと共におられる方として、この地上を生きられました。そして、復活のイエスさまは、「わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいる。」(マタイ28・20)と言われています。イエスさまは、昔も今も、そしてこれからの未来も、インマヌエルとして、私たちと共にいてくださるのです。

 「神われらと共に」という言葉をもって、クリスマスを祝う者でありたいと思います。

 

2023年12月24日 クリスマス礼拝 アドベントⅣ(降誕前第1主日) 平島禎子牧師


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