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「万事が益となる」 ローマの信徒への手紙8章18~28節

 3月29日は児島教会の創立記念日です。今年で75周年になります。創立時から会堂のない教会でありました。1963年に最初の会堂建築がなされました。教会創立から15年後に悲願の会堂が与えられたことは、大きな喜びであったことと思います。しかし、会堂のなかった15年もの間、礼拝を守り続け、伝道をなし、教会学校も青空教室という形で活発に行われていたこと、また、教会に連なる人も増えていったということは、本当に素晴らしいことであったと思います。今日の聖書に「見えるものに対する希望は希望ではありません。現に見ているものをだれがなお望むでしょうか。わたしたちは、目に見えないものを望んでいるなら、忍耐して待ち望むのです。」(24、25節)と記されています。会堂がなくても、希望を捨てずに15年間がんばってこられた、またそこには喜びもあったからこそ、会堂が与えられたのだと思います。「日本基督教団児島教会三十年誌」において、三十年間の教会の歴史を知ることはできるのですが、その後の45年の歴史を知ることができないのは残念なことです。児島教会の現状は厳しいものがあります。しかし、教会の歴史の中で、教会との関わりを持った人たちが帰ってくる、また、新しい枝が起こされる、そのことを信じて、私たちは現在の苦しみを忍耐し、希望を持ち続けなければならないと思います。

 「神を愛する者たち、つまり、御計画に従って召された者たちには、万事が益となるように共に働くということを、わたしたちは知っています。」(28節)とパウロは言います。苦しみの中にあっても希望を持つことができる、自分の力では祈れないような時には、霊が執り成しをしてくださる、そして、神に召された者たちには、万事が益となるように働くのだ、と言うのです。サマセット・モームの「人間の絆」という小説の中で、人生はペルシア絨毯のようなものだ、最も苦しかった時が最も美しい色模様で仕上がっている、というようなことが記されていました。人生という絨毯を紡いでいる私たちは、どのような色模様で仕上がるのかは、人生が終わる時にしかわかりません。同様に教会もまた、大きな絨毯を紡いでいます。これまでの色模様はどのようなものでしょうか。もしかしたら、今の時期こそが、最も美しい糸で織られているのかもしれません。つらかったことも、苦しかったことも、万事が益となるように、神さまが、イエスさまが導いてくださいます。そして、常に聖霊が支えてくださっています。

 現在の教会の状態にあって、苦しみや諦めの中に埋没することなく、この教会の未来への希望を持ち続けるならば、現在のこの時を過去の歴史の連続性の中で捉えるならば、万事が益となっており、今、この時もまた「益」となっている、と言えるのではないでしょうか。

 「万事が益となる」ということを教会の歴史から学ぶと共に、教会の今を生きている私たち一人ひとりが、今この時も「益」となっているのだ、ということを信じて、見えない希望を待ち望んで、76年目の歩みを始める者でありたいと思います。


2023年3月26日 教会創立75周年記念礼拝 受難節第5主日(復活前第2主日)

                             平島禎子牧師


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