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「夢の有る民」  聖書:使徒言行録4:32~37

 教会は実に多様で様々な個性をもった存在です。教派、信条とかだけではなく、規模の大小から、会堂の様子までほんとにバラエティーに富んでいます。
 今日の聖書は2000年前出来たばかりの教会、つまり第1番目の教会の姿を記しています。2章43~47節に一度記されているのに、もう一度ルカがあえて記しているのです。
 ルカが福音書を書いたのは70年代と言われています。その続編としてこの使徒言行録を記しています。つまり約40年後くらいに、この地上に最初に誕生した教会の姿を記したことになります。40年後の一信仰者であるルカから見てもやっぱりすごい教会だったんじゃなか、と思います。だから、また再度書いたと考えられます。
 もう一つは、バルナバのことです。使徒言行録の後半の主人公パウロにとって非常に大きな存在であった人物として、ここに前もって記しておいたのだと思われます。特に9章以下の頻繁に登場し、もと迫害者のパウロをとりなし、アンディオキアで丸一年パウロと伝道し、リストラの町では「ゼウス」と呼ばれ、最後は、パウロと激しい口論をし、別行動をすることになった、という感じの、聖霊と信仰に満ち溢れていた立派な人物だったようです。
 最初の教会で、みんながすすんで献げ、共有していた背景には、強烈な終末信仰がありました。すぐにでもイエスさまが再来され、今のこの世は終わりを迎える、新しい世になる、と信じていたのです。しかしルカの時代、すでに70年にエルサレムは陥落してしまいましたが、終末は、来ませんでした。最初の教会から約40年後の教会は、そんな中、様々な問題を抱えていたのではないかと想像できます。34節の「一人も貧しい人がいない」という言葉に、私は、ルカが読者に対してもっと「分かち合おう」と呼び掛けているように思えてなりません。そして教会が周囲の人々から好意を持たれていたのは、将来に対して「夢」を持つことが困難だった時代に、「心」「思い」がまことに一つとなるとき、夢は生まれるのかも知れません。現代も違う意味で困難な時代ですが、救い主イエス・キリストを信じた人々の群れとして、夢をもって信仰の歩みをすすめて行きたいと思います。

2018年6月3日 聖レ降臨節第3主日礼拝 笹井健匡牧師

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